



















~ 神奈川の力を被災地に ~
1月27日、横浜市中区にある喫茶店・旧コロンビア(※)にて「陸前高田交流会vol.0」が行われました。
かながわ東日本大震災ボランティアステーションが主催したこの交流会は、12月に行われたワークショップ「これからの陸前高田支援を創る」をきっかけとしており、岩手県陸前高田市の支援に興味を持つ人々の交流の場を作ることを目的に開催されました。陸前高田市に対して様々な思いを持った20人以上の参加者が会場を埋め、活動報告や歓談を通してそれぞれの経験や情報を交換し合い、交流を深めました。
教育活動支援を行う基金団体「FRIENDSHIP TAKATA」の上部琴音さんと菅野寿也さん(共に陸前高田市出身)は、現地の小中学生が満足に体育や部活動を行えていない現状を報告。現在、陸前高田の小中学校のグラウンドには仮設住宅が建ち並んでいます。農地を借りて仮設のグラウンドを作るなど対策は取られていますが、安全管理や移動時間の面でリスクを抱えた状況が続いているそうです。実際に小中学校に足を運び、現場の声を聞き「例年通りスポーツを楽しめる仮設グラウンドを作りたい」との思いを強くしたと言います。2人の語り口からは、地元出身者だからこそ持ち得るような地元の子供たちへの強い思いが感じられました。
なお、会場で募った「FRIENDSHIP TAKATA」への寄付金は総額27600円に達しました。今までに集まっていたものと合わせて、来月の支援品として陸前高田の子供たちのもとに届けられます。
「まずは、(被災地でなく)自分の近くで震災が起きたらどうなるのか、考えてほしい」。
「復興居酒屋がんばっぺし」代表の鎌田直樹さんは、自らの被災地支援についての思いを語ってくれました。「自分は助かるのか、大切な人を守れるのか。そう考えれば『今生きていることは当たり前じゃない』と気づくはず。そこから初めて『じゃあ(被災地を)助けよう』と考えられるようになる」。
鎌田さんは陸前高田市の隣、岩手県大船渡市育ち。就職のため18歳で単身横浜に移り、14年間暮らしてきました。震災後「横浜からできる支援はないか」と考え、昨年7月、横浜駅西口・岡野町交差点近くに期間限定居酒屋「復興居酒屋がんばっぺし」をオープン。岩手県三陸地方の震災被害者を雇用するとともに、地元の魚介をふんだんに使った料理で三陸の良さをアピールしました。岡野町の店舗は昨年の大晦日までで営業終了となりましたが、2月に大船渡市と神奈川県内に開店するのを皮切りに、三陸地方の良さを前面に出した居酒屋を全国に広げていく考えを持っているのだそうです。
「(自分は)半分横浜出身みたいなもの」だと言う鎌田さん。被災地と横浜、双方に向けられたまなざしが、彼の言葉からは感じられました。
「こうやって集まって陸前高田について話すことも、一つの支援の形なのかなと思う」。
そう話すのは協力団体「TEAM TAKATA」の吉田隆介さん。「TEAM TAKATA」はこれまでも、陸前高田の出身者同士で交流や、情報交換の場作りを目的として、数多くの交流会を開催してきましたが、今回は参加者の幅が広く、実験的な試みだったと言います。「KSVNの方に『やっちゃおうか』と誘われて、そのノリでここまできた。でも盛り上がっているし、いいんじゃないかな」。成功を喜びつつも、飄々とそう語る吉田さん。今回の交流会を足掛かりに、今後はさらに規模を大きくした交流会を開催していく予定だそうです。
facebookで偶然このイベントを知ったという会社員の伊藤浩さんは「みんな名刺交換してるってことは、初めて会ったってことですよね? 同じ思いを持った見ず知らずの人がこれだけ集まるのはすごい」と驚きながらも「ここから何かに発展すればいいですね」と期待を寄せていました。他にも「(被災地のことを)身近に感じられないと、どうしても温度差が出てきてしまう。今日集まった人はみんな熱い人だし、現地の生々しい情報や、支援現場の声も聞けた。来てよかった」(「くるくる関内」実行委員・小野寺志保さん)、「現場でボランティアをされているような行動力のある方とお話しでき、勉強になったし、刺激になった」(会社員・熊谷浩伸さん)など、参加者によって様々な満足の声を聞くことが出来ました。
※旧コロンビアは、10月28日~30日に、陸前高田市の写真洗浄ボランティア活動の会場として借りた空き店舗。
同店舗は、横浜市経済局「震災復興支援商店街空き店舗活用事業」の対象拠点として2月より改装工事の予定。2012年3月11日、野毛にかつてあった老舗のジャズ喫茶「ちぐさ」として開店予定。被災地支援の関係者及び被災者どうしのコミュニケーション機会の提供や、被災地の産品を紹介する場としての活用を想定している。
2階には、昨年夏に、「ちぐさ」のメンバーと、陸前高田の被災したジャズ喫茶「h.イマジン」の交流イベントを実施した際の陸前高田のパネル写真などの資料がそのまま残っている。
(編集チーム 森田 直)
関連リンク
Friendship TAKATA http://ameblo.jp/friendship-takata/
Team TAKATA http://teamtakata.info/
復興居酒屋がんばっぺし http://www.ganbappeshi.jp/
くるくる関内 http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20120201/CK2012020102000048.html
ワークショップ「これからの陸前高田支援を創る」(KSVNホームページ)http://ksvn.jp/blog/meeting21891.html
AidTAKATA合同バスツアー~参加ボランティアからの報告 (KSVNホームページ)http://ksvn.jp/blog/field/hisaitihoukoku20595.html
タグ: Friendship TAKATA, TEAM TAKATA, ジャズ喫茶ちぐさ, 交流会, 復興居酒屋がんばっぺし, 陸前高田市