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はてなブックマーク - 【第4回研究会】「saveMLAKの活動事例」

2月1日(水)13時~15時、かながわ県民活動サポートセンター11階で、saveMLAKプロジェクトリーダー岡本真さんをゲストにお迎えし、参加者約15名で情報活用モデル研究会「図書館などの社会教育施設復興支援~saveMLAKの活動事例」が行われた。岡本氏のプロフィールはこちらに。

講演中の岡本さん


311直後に岡本氏が立ち上げ、その活動を進化させている、saveMLAKの意義と働きを中心に、また発災後1年を迎えるこれからの活動の指針について問題提起していただいた。

震災後すぐに、saveLibraryを立ち上げ
「発災の当日、地震と津波で多くの被害を受けたであろう図書館を助けるために、情報を集めないと、とツイッターでつぶやいたが、反応が良くない。(岡本氏には5000人を越えるツイッターフォロワーがおり、そのフォロワーには、多くの図書館関係者がいたにも関わらず、である。)何故だろう、と考えて、これは枠組みが無いからじゃないかと思い付いた。」と語りはじめる。
「そこでatWikiの仕組みを使って30分ほどで作ったのが、「savelibrary @ ウィキ – 東日本大地震による図書館の被災情報・救援情報」です。」
「最初のうちは僕自身も情報を入れていましたが、そのうちみんながいろいろやってくれるようになりました。多くの協力者のおかげでサイトが育って行きました。」
Wikiは、ウェブブラウザを利用してWebサーバ上のハイパーテキスト文書を書き換えるシステムの一種である。誰でも、ネットワーク上のどこからでも、文書の書き換えができるようになっているので、共同作業で文書を作成するのに向いている。ウィキペディアはご存じの方も多いだろう。
「そのうち、図書館(L)だけではなくて、美術館・博物館(M)、アーカイブス(A)、公民館(K)、すべてを一緒にして、saveMLAKとしてまとめました。これらの施設は、地方によっては同じ建物に入っていることが多いんです。だからまとめた方が合理的ですしね」
「僕は、肉体労働には向かないし、また悲惨な現地に駆けつけることもできない、震災直後に最も重要視されるのはもちろん人の生死です。ですがそこには僕は貢献できない。情報の仕組みを作ることが僕の得意技なので、3ヶ月後に被災者がなるべく早く立ち直れるように、情報拠点を作ろうとしたわけです。」
「震災前から、「MLAK連携」はトレンドな会議の話題だった。でも、語るだけでなくMLAK連携の実践を、というのがsaveMLAKの意義です。このサイトはあくまで有志のボランティアで運営されています。ネット上での自由編集、と言うやり方なので、何人が関わっているのかわかりにくいですが、支持者の数は500人から1000人ぐらいではないか、と思います。現在、2万件の所在情報、700件の被災情報が集約されています。」

現地に負担を掛けない支援を
「今のような非常時に注意すべきなのは、情報収集で現地に負担を掛けないこと。我々はできるだけ、ネットや報道などで情報収集し、現地に負担を掛けないことを心がけています。」
「負担を掛けない、という意味では、基本的に本を送るのは止めた方が良い。送る方は善意でも、現地では非常に負担になります。送られた本は倉庫を圧迫し、可燃物と言うことで火災の危険も増やしています。」
支援者が独善的な善意を押しつける援助は受援者を困らすだけになる場合も多いことを、自戒するべきであると強調している。有志により宣言されている「本を送りません宣言」をぜひ一読願いたい。

コーディネートによる中間支援の重要性
岡本氏は、東北大学でのマイクロフィルムの整理支援、南三陸町の仮設図書館への専門家支援など、受援者と支援者を正しく繋ぐ中間支援も行っている。
「復興期にはこのような中間支援がますます重要となります。必要なところに必要な専門家を繋ぎたい。支援者の乱立は受援者の迷となります。直接連絡して現地の時間を奪う支援者が多くて現地は疲弊しています。でも、受援者側は、迷惑でも「支援者の善意」を断れないんです。失敗を恐れるあまり、何をやろうとしているのかを開示しない支援者の場合、調整が難しいです。自分たちの支援者スポンサーへの報告義務やアピールといった事情があるにしても、支援者側がカードを握っている支援は、本当の支援なのか、よく考えて欲しい。善意でも間違ったやり方である場合もある。気がついたら、善意を受け入れられないことを怒らず、素直に謝る柔軟性を持って欲しい、と強く思います。」

震災関連情報のアーカイブ
「震災情報を保存する(アーカイブする)動きは、複数団体で行われているが、仕様を共通化していくことが重要です。ヤフーの東日本大震災写真保存プロジェクトには、仕様のアドバイスをしました。
例えば、写真アーカイブの場合、非営利での二次利用の許可を投稿時に設定してあるので、後々の情報利用がスムーズになると思います。
阪神淡路の震災情報は神戸大学付属図書館でまとめて保管されています。情報がまとまっていることは、活用のためには大変重要であり、今回も倒壊した図書館の大型本棚の建て直しのノウハウなどの情報を被災地に提供できました。震災情報を保存する場所として図書館は重要な役割を持つんです。」

ファンドレイジング(民間非営利団体が、活動のための資金を個人、法人、政府などから集める行為の総称。)の重要性
「現地入りしない中間支援団体は補助金などを得にくい現状があります。名取市にはユニセフの補助で子ども図書館の建物ができたが、本棚などの屋内設備がない。断熱材、本棚など、図書館として機能するための設備がまだまだたりない。必要な資金200万円を神奈川県内で集められないのは、非常に困ったことであり、恥ずかしいことでもあります。あと40万円ほどなので、県内でぜひ積極的に集めて欲しいです。」

多くの人の善意を、生きる形で受援者に届けるには、中間支援の役割が大きいことがよく分かった。今後のかながわ東日本大震災ボランティアステーションの方向性を考える上でも、重要な示唆に富む勉強会だった。
なお、当日の動画はこちらで、当日の投影資料は、こちらで見ることができる。

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(編集チーム 伊藤)

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